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いじめ「範囲拡大」に賛否 事態深刻化にブレーキ 親切心否定しかねない

文部科学省の有識者会議は12日、いじめ防止対策の素案で、いじめの範囲を広くとらえた具体例を初めて示した。「好意であっても、相手が傷ついたらいじめ」「けんかは双方向のいじめ」-。学校現場や識者の間では「いじめの抑止につながる」と支持する声と、「親切心を否定しかねない」と疑問視する声が交錯した。
 「見過ごしは、あるでしょうね」。福岡県内の男性教員は、かつて教室で目にした光景を思い出した。始まりは鬼ごっこ。その仲間がいつしかプロレスごっこを始め、最終的には特定の児童ばかりが攻撃の対象となっていた。「放置すれば深刻ないじめに発展する恐れがあった」と打ち明けた。
 素案は、好意や親切心による進学や学習のアドバイスだとしても、相手が傷ついた場合には、いじめと認知すべきだとの考えを示した。現場に対しては「けんか」の見極めも求め、インターネット上の悪口の言い合いは「双方向のいじめ」と明示した。
 全国webカウンセリング協議会の安川雅史理事長は「ネット上は相手が見えないためブレーキがかからず、エスカレートする傾向がある」として早期対応に理解を示した。「書き込みは『デジタルタトゥー』としていつまでも残り、第三者の目に触れる恐れもある」と二次被害の可能性も指摘した。
 一方、福岡県の中学校の女性教諭(52)は「そこまでいじめ察知のアンテナを張ろうとしたら、生徒と四六時中一緒にいる必要がある」と悲鳴を上げた。「微妙なケースは双方の聞き取りが先決。『いじめた側』とされる児童の気持ちにも配慮すべきだ」と慎重姿勢を示す男性教諭もいた。
 八尾坂修・九州大名誉教授(学校経営学)は「初期段階のいじめがあれば常に注意を払い、重大事態につなげない姿勢こそが大切」と素案を一定程度評価。ただ、いじめに関する情報共有を怠った場合、教職員が懲戒処分の対象となり得ることの周知を改めて明記したことについて「現場が萎縮するだけだ」と批判した。
=2016/10/13付 西日本新聞朝刊=

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